あらすじ
地球人をハッピーにする使命を背負って地球にやってきた宇宙人・タコピー。
公園の土管でおなかをすかせていたところを、小学生のしずかちゃんに助けられます。
感謝したタコピーは、無表情なしずかちゃんを笑顔にしようと奮闘しますが…。
一言感想
絵柄のゆるさやかわいさが心をえぐる鬱展開をぜんぜん相殺してない…。人間の醜悪な部分をこれでもかと見せつけるサスペンスアニメで、見ていて終始つらい気持ちになっていました。
いじめをテーマにしていて、すごく評価が高いと聞いて興味を持ったため視聴。
全6話の比較的短いアニメでしたが、ファンタジー作品としての満足感は高かったです。
ハッピーエンドかどうかは意見が分かれそうですが、しずかちゃん達はタコピーの力を借りることで過酷な環境を乗り越え、最終的にはしあわせな未来を手にしたと私は感じています。
やさしさが凶器になる

宇宙人タコピーは、道徳観が地球人と根本的にちがいます。タコピーの故郷であるハッピー星では、ちょっとしたケンカも対話で解決するのが当たり前。暴力や殺人は存在しないから、当然そういう概念もない。
例えば、まりなちゃんがしずかちゃんを殴ったあとの場面で、タコピーが「人間はケンカすると顔の色が変わるんだね」と言うシーンがあります。暴力の意味をまったく理解していないタコピーの無邪気な言動は、どこか狂気すら感じさせます。
そんなタコピーの「やさしさ」は、地球ではまったく通用しませんでした。しずかちゃんたちを助けようとするものの、努力はことごとく裏目に出てしまい、かえって子どもたちを深く傷つけてしまいます。
しかしタコピーは、しずかちゃんやまりなちゃんとの交流を通して、人間の中にグラデーションのように同居する「善」と「悪」の存在を知り、自分の無邪気さが凶器になっていたことに気づきます。
そしてその「罪」を自覚し、自己犠牲をもって彼女たちを救うという選択をしました。ピュアな愛が傷をつけ、同時に救いにもなる、タコピーの行動には、そういう矛盾が詰まっていたように思います。
本当にハッピーエンドなのか? むしろ救いがない?
私はこの作品を、後味のよい物語だと感じました。
タコピーのおかげで、3人の子どもたち(しずかちゃん、まりなちゃん、東くん)の未来はたしかに明るい方向へ変わりました。
でも一方で、彼らを取り巻く根本的な問題…虐待や大人たちの無関心、閉ざされた家庭環境…は残念ながら何も変わっていません。
子どもたちはこれからも、過酷な現実の中で生きていかなければならないはずです。また、環境が変わらなければ、しずかちゃん、まりなちゃんの暴力性や他人を利用しようとするダークな心理的側面が消えるとは考えにくいです。
唯一の例外が東くんで、前の世界線での記憶を引き継いだことで、兄と自然にケンカができるようになっていました。ほんのわずかな変化かもしれませんが、希望の萌芽とも言えそうです。
つまりこの物語は、決して「すべてがうまくいった」ハッピーエンドではない。
タコピーが命をかけて「希望」を残した、未来へのきっかけを描いた物語なのだと思います。
あとは、その希望をどう育て、どう現実と折り合いをつけながら生きていくかは、子どもたち次第なのかもしれません。



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